「わ、凄い!」
神馬舎の中には数頭の馬がのんびりくつろいでいた。
どこ子も毛艶が良くて上品な顔立ちをしている。
「馬って想像よりも大きいんだね」
「そうだね。背に乗るともっと実感すると思うよ」
慣れた手つきで真っ白な馬を外に出した。
「こいつ御神馬様ではなくて学校で飼ってる子なんだけど、馬だとは思えないほどのんびり屋だから初心者向けなんだ」
そう言って首を撫でた嘉正くん。
気持ちよさそうに目を細めて、ぶるる、と鳴き声を上げた。
撫でてやって、と言われて恐る恐る手を差し出す。
私の指先の匂いを嗅ぐと、その鼻先を手のひらに押付けた。
その可愛らしさに思わず目尻が下がる。
「よし、じゃあ乗ってみようか」
「えっ、もう……?」
「大丈夫だよ。こいつ、のんびり屋だから急に走り出したりしないし、おれも手綱は握ってるから」
ほら、と手を差し出される。



