気を取り直した私達は修道館の外に出ると、次はその向かい側にある「神馬舎」を目指した。
そこではまねきの社がお世話をしている神馬と神修が飼っている馬が数頭暮らしていて、大きな小屋と広い運動場もついている。
嘉正くんが所属する流鏑馬部は、普段は弓道場で活動しており、週に一度は馬に乗って練習しているのだとか。
「今日はラッキーなことに、乗馬での練習だからちゃんとした流鏑馬が見られるよ」
「すごい……! 嘉正くんのも見られる?」
「俺? 俺はそんなに大したことないよ。部長の方が凄いから。────あ、ほら」
指さした方を見ると、ちょうど真っ白な毛並みが美しい馬に跨った男の人が、ゆっくり馬を走らせているのが見えた。
柵に近寄った私たち。
ちょうど私たちの前をその馬が横切ったタイミングで、嘉正くんが声をかけた。
「部長! 部活見学したいってクラスメイトが今、」
「うっせえ今話しかけんじゃねぇぶっ飛ばすぞッ!」
あまりにも突然なことに目を見開いて固まった。
しばらくしてとんでもなく罵倒されたのだと気がつく。



