言祝ぎの子 ー国立神役修詞高等学校ー



「────いてて……」


修道館の階段を降りながら、手のひらの皮が向けて真っ赤になった手のひらにふーっと息を吹きかける。

後で医務室に寄って、八色《やくさ》先生から軟膏を貰わないと……。


はあ、とため息をこぼして肩を落とす。


「ごめん、巫寿。刺し違えてでも止めるべきだったね」


私の手のひらを眉根を寄せて見つめてそういったのは来光くんだ。


「ううん。地稽古の前で助けてくれただけで十分だよ」


あの時、何故か体験入部をするということになってしまい、あれよあれよという間に道場の中へと連れ込まれた私。

泰紀くんから紹介された3年生の部長さんはまさに絵に書いたような"鬼教官"で、有無を言わせず練習用の槍を手渡された。

何度か嘉正くん達が間に入ろうとしてくれたけれど、「練習中だ!」と怒鳴られて道場からつまみ出されていた。


基本的な技を叩き込まれ、試合形式に近い「地稽古」が始まる直前で慶賀くんの目くらましの煙玉が投げ込まれ、嘉正くん達によって助け出された。