ここだ、と嘉正くんが「第二道場」と書かれた札を指さした。
失礼します、と声を揃えてその扉を開けたその瞬間。
「キェーーッ!」
「ソイヤッ!」
「ハァーーッ!」
怒号にも近い気合のこもった叫び声に、バシバシと響きわたるのは槍同士が激しくぶつかる音。
圧倒されていると「どうだ巫寿、凄いだろ!」と後ろから声をかけられる。
上下紺色の道着に着替えた泰紀くんが、槍を担いでにっと笑う。
「部長!さっき言った体験入部の!」
道場の奥で太鼓を叩いていた人にそう声をかける。
「えっ、た、体験入部……!?」
「せっかくだしちょっとだけ槍触ってけよ、な!」
ほれほれ、と背中を押されてあれよあれよという間に道場の中へ連れていかれる。
振り向くと嘉正くんが「ごめん」と手を合わせていた。



