「まずどっから行く〜?」
「1番近いのだと槍術《そうじゅつ》部の道場じゃない?」
「おっ、俺の部だな! じゃあ先に行って部長に話つけてくるわ」
そう言い先に走っていった泰紀くん。
その背中を見送ってみんなでゾロゾロ歩き出す。
「そういえば、ソウジュツ部ってどんな部活なの?」
「槍術は槍《やり》を使う武道だよ。奉納演武っていう神事があって、空手、合気道、剣術、あとは薙刀とか。武道の"形"を神様の御前で披露するんだ」
相変わらずの丁寧な説明にへえ、と興味深くうなずく。
「じゃあ泰紀くんは槍が使えるんだ。凄いね」
「本人に言ってやったら、きっと喜ぶよ」
そうこうしているうちに、青銅色の屋根に白壁の大きな建物の前にやってきた。
詞表現実習の演習場に行く時に毎回前を通っていた建物だ。
どうやらここが道場らしい。
「ここが武道系の修練場、修道館《しゅうどうかん》」
重厚な扉は開けっ放しになっていて、その奥から気合いの入った沢山の叫び声が漏れてくる。
「槍術部の道場は2階だったかな」
こっちだよ、と促され建物の中へ入った。



