言祝ぎの子 ー国立神役修詞高等学校ー



そんな私に気がついたのか、聖仁さんはくくっと喉の奥で笑う。


「みんな覚える必要は無いよ。今は神話舞に出る人達だけ覚えればいいから」


そう言われてほっと息を吐く。

それなら、知っている人がほとんどなので何とかなりそうだ。


いつも慶賀くんたちを鬼の形相で追いかけてくる栗花落《つゆり》景福《けいふく》巫女頭に、さっき紹介してもらった暄鵲《けんじゃく》禰宜頭、あと数人浅葱袴の権禰宜と本巫女さまがいて、もう一人は紫袴の若い神職さまだった。


「あの紫袴の人は誰ですか?」

「草薙《くさなぎ》翔五《しょうご》禰宜だね。あの若さで去年禰宜になって、すごく優秀な人だよ。それなのに鼻にかけない気さくな人なんだ」

「おいくつなんですか?」

「たしか、四十二歳くらいだった……かな。方賢さんと同期だって聞いたことがあるね」



たしか禄輪さんが今年で50って言っていたから、暄鵲《けんじゃく》禰宜頭はもっと年上だろう。

となると、四十代で禰宜になるのは詳しくない私でも凄いことなのだと分かった。