聖仁さんの手をひょいと交しながら、軽い身のこなしで近くにあった木へ飛び乗った瑞祥さん。


「やーい聖人超人サイヤ人! イケメン優秀優男部長!」

「瑞祥……それは僕を貶してるのかい? 褒めてるのかい? あと、そこから降りなさい。巫女見習いがはしたない」


息のあった仲の良い二人のやり取りに思わず頬が緩む。


「あれ、いま部長って」

「聖仁は神楽《かぐら》部の部長だぞ。ちなみに私が副部長だ!」


よっ、と木から飛び降りた瑞祥さんはふわり途中を一回転して音もなく着地する。


「神楽部……?」

「奉納演舞や神話舞を稽古する部活だよ。巫寿ちゃん、部活には?」

「まだ入ってないんです。丁度さっきも、皆ともその話をしてて」



「なら神楽部に入れよ巫寿!」がし、と肩を掴まれてそのまま踵を返した瑞祥さん。

「部室はこっちだぞー」とにこにこしながら私を引っ張る。

え、え?



「こら瑞祥」


すかさず聖仁さんのストップがかかってほっと息を吐く。


「まずは神話舞の顔合わせに行かないと。入部手続きはその後だよ」

「え……?」



まずはこっち、と背中を押される。

不穏な空気を感じるのは気のせいだろうか。