午前中の授業が終わり、みんなで昼食を食べてから校舎裏の木陰で休んでいると、遠くから「おーい」と誰かが手を振ってこちらへ歩いてきた。
「あれ、聖仁さんと瑞祥さんじゃね」
龍笛を吹いていた手を止めた慶賀くんは、歩いてくる二人に気が付いて大きくてを振り返した。
「巫寿ちゃんの居場所を聞こうと思って皆を探してたんだけど、探すまでもなかったよ。今朝は随分な勢いで怒られていたからね」
聖仁さんがくすくすと笑いながら慶賀くんの龍笛を指さす。
どうやら龍笛の音色を辿って私たちを探したらしい。
「あっ、ひっでぇ! それにそんなに怒られてねぇし!」
頬をふくらませた慶賀くんに「ごめんごめん」と彼の頭を撫でる。
仲の良いやり取りに気心知れた仲なのだと知る。
「巫寿、今から時間あるか?」
瑞祥さんにそう尋ねられ、特に予定もなかったのでひとつ頷く。
「これから神話舞の初顔合わせがあるんだ! 富宇先生が伝え忘れたと焦っていてな」
それで二人で私のことを探して迎えに来てくれたらしい。
慌ててお礼を言って頭を下げると「可愛いなぁ」と瑞祥さんにぐりぐり頭を撫でられる。