「効果は鎮魂、鎮静、浄化に禊祓……対魑魅の祝詞か」
「すごい……ひと目見ただけで分かるんですか?」
まあな、と肩を竦めた禄輪さん。
祝詞を読み進めながらぶつぶつと何かを考えるようにつぶやく。
「ん……なかなかの出来だな。一年生でここまで上位の祝詞を作成できるのは努力の賜物と言ったところだろう」
その言葉を噛み締めるように目を瞑り、嬉しそうな顔で俯く来光くん。
「だが今は授業中だからな。後で休み時間に見てあげよう」
「やった! よろしくお願いします!」
来光くんは返されたノートを胸に抱きしめぎゅっと握りこぶしを作った。
「あと授業中に部活の内職はするなよ」
呆れ気味に笑った禄輪さんは来光くんの頭をこつんと小突くと、嘉正くんたちのグループへ声をかけに行った。