「開門祭の神話舞に出るの!? すげーっ」


基礎祝詞作成の授業中、グループワークで机を合わせて祝詞の意味を調べていた私と慶賀くん、来光くん。

今朝富宇先生に呼ばれていた理由を尋ねられ、神話舞のことを話した。


「でも、私は全然端役で、後で踊るだけなんだって。2年生の聖仁《せいじん》さんは萬知鳴徳尊(ばんちめいとくのみこと)役だよ」

「聖仁さんは初等部の時からずっと神話舞に出てたぜ」

「えっ、そうなの?」

「ずっと大和舞の授業取ってるのあの人くらいだし、なによりあの聖仁さんは"聖人超人サイヤ人"だからな〜」


腕を組んでふんふんと頷く慶賀くんに「なにそれ」と吹き出す。


「お前らなぁ……」


呆れた声が聞こえて顔を上げると、禄輪さん────もとい禄輪先生が私たちを見下ろしていた。


「禄輪禰宜、聞いた? 巫寿が神話舞出るんだって!」

「それだけ大きい声で話してたら聞いて無くても聞こえてくるわ」


ぱこんと教科書で頭を叩かれた慶賀くんは鼻をこすって笑った。

今日は基礎祝詞作成の先生が別件で仕事に出ていて、代わりに非常勤講師として禄輪さんが来ている。