「それで、瑞祥さんはまねきの社の本巫女、巫寿さんにはまねきの社の巫女助勤役として、神話舞に出て欲しくって」
巫女助勤といったら、本巫女さまの下で働く巫女のことだ。
そんな大役、と思うと慌ててブンブン首を振った。
「で、できないです……! 私まだ下手くそだし、なによりそんな大事な神事にでるなんて」
「こらこら、巫寿さん。言祝ぎを高めないと、本当に出来なくなってしまうわ」
う、と言葉を詰まらせる。
自分の悪い癖だ。自信のなさが直ぐに言葉に現れてしまう。禄輪さんにも散々それを言われているはずなのに。
「それに、巫寿さんはもう少し自分の舞に自信を持たないと。まだ習い始めてひと月程度なのに、驚くほど上達しているわ」
富宇先生の柔らかい手が私の背中をぽんと叩く。
きゅっと唇を結んで俯いた。
「やってみなよ巫寿、案外楽しいぞ! そんなに気負わず発表会に出るとでも思ったらいい。それにちょっとやそっと失敗したって死にゃしない!」
大きな口を開けてかかか、と笑った瑞祥さん。