不名誉にも「騒音妨害」と叱られたふたりは、流石に反省したようで珍しく真面目に清掃をして、大人しく朝拝に参加していた。


「巫寿さん、ちょっといいかしら」

富宇(ふう)先生?」


朝拝が終わって、本殿から出ていく人の列に並んでいると富宇先生に呼び止められた。


「おはようございます。どうしたんですか?」

「ちょっとお話があって」


わかりました、とひとつ頷き待ってくれていた皆には断りを入れる。

列から抜け出して、富宇先生に歩み寄った。


こっち、と連れてこられた本殿の隅には先客がふたりいた。

一人は男の人で、もう一人は女の人。リボンの色からひとつ年上の2年生なのだとわかった。



「お互いにはじめましてよね。この二人は、二年生の(さかき)聖仁(せいじん)さんと、夏目(なつめ)瑞祥(ずいしょう)さん」


初めまして、と手を差し出した聖仁さん。

癖のある茶髪をかき分けた髪型が良く似合い、彫りの深い顔立ちをしていて、柔らかく人懐っこい雰囲気が印象的だった。


「あ、あの。初めまして、一年の椎名巫寿です」


どぎまぎしながらその手を握り返すと、今度は横から瑞祥さんにぐりぐりと頭を撫でられた。


「よろしくな、巫寿。二年の夏目瑞祥だ!」



長い髪を高い位置で結い上げて、キリッとした目が凛々しくて格好いいその人は、夏目瑞祥さんと言うらしい。

にかっと笑う笑い方が凄く素敵な人だ。



初めて会ったばかりだけれど、二人の雰囲気から直ぐに緊張はとけた。