*
『────大雪の影響により関東地方ではJRが全線で運転を見合わせており、夕方から深夜にかけてはライフラインへの影響も懸念されています。』
ニュースキャスターが淡々と原稿を読み上げるのを横目に、毛糸のマフラーをくるくると巻き付ける。
「お兄ちゃん、私もう行くねー?」
キッチンにいる兄に聞こえるようにそう声をかける。
「え、もう出るの? 今日早かったっけ!?」
胸元に大きなうさぎのアップリケが付いてある水色のエプロンを着たお兄ちゃんが、フライパンを持ったままドタバタとキッチンから出てくる。
フライパンの上で熱々のタコさんウィンナーがじゅうじゅうといい音を立てている。
「もー、昨日言ったよ! 恵理ちゃんと待ち合わせてから試験会場行くから、いつもよりも早く出るって」
スクールバッグの中を整えながらそう伝えると、お兄ちゃんは「あちゃー」と頭を搔く。
「ごめん、すっかり忘れてた。まだお弁当出来てないや……。おにぎりだけでも握ろうか? 5分あればできるよ」
「急いでるからいいよ。コンビニで何か買ってく」
「朝ごはんは? パン直ぐに焼くからそれだけでも、」
「それも途中で買う!」
そう言ってくるりと背を向けるとお兄ちゃんが慌てて追いかけてくる。
『────大雪の影響により関東地方ではJRが全線で運転を見合わせており、夕方から深夜にかけてはライフラインへの影響も懸念されています。』
ニュースキャスターが淡々と原稿を読み上げるのを横目に、毛糸のマフラーをくるくると巻き付ける。
「お兄ちゃん、私もう行くねー?」
キッチンにいる兄に聞こえるようにそう声をかける。
「え、もう出るの? 今日早かったっけ!?」
胸元に大きなうさぎのアップリケが付いてある水色のエプロンを着たお兄ちゃんが、フライパンを持ったままドタバタとキッチンから出てくる。
フライパンの上で熱々のタコさんウィンナーがじゅうじゅうといい音を立てている。
「もー、昨日言ったよ! 恵理ちゃんと待ち合わせてから試験会場行くから、いつもよりも早く出るって」
スクールバッグの中を整えながらそう伝えると、お兄ちゃんは「あちゃー」と頭を搔く。
「ごめん、すっかり忘れてた。まだお弁当出来てないや……。おにぎりだけでも握ろうか? 5分あればできるよ」
「急いでるからいいよ。コンビニで何か買ってく」
「朝ごはんは? パン直ぐに焼くからそれだけでも、」
「それも途中で買う!」
そう言ってくるりと背を向けるとお兄ちゃんが慌てて追いかけてくる。