信号機の下に経つその人に慌てて声をかける。 彼は何も言わずに微笑みながら小さく手を挙げた。 「ええ……っ」 押されるままに反対側の歩道へついた。慌てて振り返るも人の流れでよく見えない。やがて信号が点滅を始めて、引き返そうかと一歩踏み出したその時。 「また会おう」 耳元でそんな声がして、信号は赤にかわった。