翌日の早朝、鎮守の森を抜けた鳥居の前にはもうすでに禄輪さんの姿があった。

小走りで石階段を降りながら声をかける。


「禄輪さん、おはようございます」


私に気がついた禄輪さんが振り返った。


「おはよう、巫寿」

「おまたせしてすみません」

「なんの。まだ5分前だ」


行こうか、と背中を押されてひとつ頷き歩き出した。


「課外授業、大変だったんだってな」

「……その話は、もう」


苦い顔でそういえば、禄輪さんはケラケラと笑った。

コンちゃんに捕まった2日目に、課外授業があまりにも大変でお兄ちゃんのお見舞いには行けないかもしれない、という旨の伝言を眞奉に伝えてもらったのだ。


慶賀くんたちとコンちゃんズとの死闘を禄輪さんに説明しながら、御神馬が待つ車に乗り込む。


連休の最終日だけあって、乗っている人は少なかった。