「空亡の残穢はその力が強大すぎるから、妖に喰われても消化吸収されることなく生き続ける。そして、その強大な力は、その妖のものになる」
三本足のあやかしのイラストに筋肉を付け足した薫先生。
大切な話をしているはずなのに、いちいちそのイラストが気になって仕方ない。
「残穢を取り込んだ妖に出会った時、神職がすべきことは主に二つある。一つ目はその妖を祓うこと」
「御魂を鎮めるだけじゃダメなんですか?」
「出来たらいいんだけどね。残念ながら、残穢によってもう自我は失っているから、際限なく人も妖も襲うようになってる。生かすことは出来ない」
そういった薫先生はなんだか少し怖かった。
「二つ目は、妖の体から残穢を取り出して回収すること。これはまあ、そこまで難しくない。口から腹の中にぐちゃぐちゃっと手を入れて、パッと掴んではい終わり」
おえ、と慶賀くんが嘔吐く。
何とか自分は堪えたけれど、慶賀くんの気持ちは痛いほどわかる。
他のみんなも青い顔をして俯いた。
せめて晩御飯じゃない時に聞きたかった。
「回収した残穢はどうするんですか」