「……もうやだよ俺。心が病みそう」

「俺は魂が抜けそう」

「僕は自我を失いそう」


夜、夕飯の席で顔を合わせたみんなは疲れきった顔でそう言った。

泰紀くんが白ご飯を二回おかわりしただけで「もう無理」と弱音を吐く。

よほど大変な課題だったようだ。


「なんだよ、ホストに入れ込んだ口裂け女を改心させろって……ッ」

「そんなんまだマシだろ! 俺、泳げない河童に平泳ぎマスターさせたんだぞ!? 五月の川くっそ寒かったんだからなッ!」

「いいじゃん、みんなはまだ……僕なんて民家の洗濯干しに紛れ込んだ一反木綿を捕まえなきゃいけなかったんだよ……探してただけなのに、下着泥棒なんて汚名を着せられてさ……」


各々に、なかなか癖のある課題が割り振られたらしい。


そう思うと私たちの課題はとても簡単なものだったのだと気が付く。

嘉正くんと無言で目を合わせて「課題のことは黙っていよう」と伝え合う。


三人のため息が重なる。