不思議に思って気を見上げる。
入内雀たちも、その心地よい風に吹かれて顔をほころばせていた。
「まあ、なんだ。主たちも困っていたのだな」
「民を困らせるのは、武士としてあるまじき姿」
「我らは何故、あそこまで怒り狂っておったのか」
「ここで一句。かくとだに……」
穏やかな顔で口々にそう言い始めた入内雀たち。
これは、と小さく拳を作って雀たちに畳み掛ける。
「裏の山の鎮守の森なら沢山の妖がいるから、みんなの苦労した話も聞いて貰えると思うよ……! 近くに社もあるから、困ったことがあれば助けてくれると思う」
「助け合いの精神こそ美徳」
「主らや地主には迷惑をかけた。すまない」
「ここで一句。かくとだに……」
すまない、すまなかったな、と口々に鳴いた入内雀たちは一羽また一羽と飛び立つ。
やがて空で群れを作った彼らは、裏の山に向かって飛び立っていった。
「巫寿」
その姿を見届けていると、名前を呼ばれた。
振り返ってみると嘉正くんが片手をあげて笑っている。
なんだか少し照れくさくて、はにかみながらその手を叩いた。