「うわっ」

「に、兄さまっ」


嘉正くんの慌てた声と、嘉明くんの絶望に染った声が響く。

はっと振り返ったその瞬間、柔らかい何かに体中を包み込まれた。それが何かを理解する前に体がふわりと浮かび上がる。

叫ぶまもなく、白いふわふわの上にぽすっと尻もちを着き咄嗟に目を閉じた。


「巫寿、大丈夫?」


恐る恐る顔を上げると嘉正くんが自分と同じように尻もちを着いていた。


「管狐に捕まったみたい」

「じゃあこれって……」

「うん、管狐の背中の上」


ふわふわした地面は管狐の背中だったらしい。

ため息つくまもなく、管狐が立ち上がるとのそのそと歩き始める。

思わぬ揺れに背中にしがみついた。