「ああーッ、なんだよアイツ! もう全部ムカつく!」 地団駄を踏んだ慶賀くんは恵衣くんの背中に向かって「いーっ」と歯をむき出して睨みつける。 恵衣くんとはずっとすれ違ってばかりだ。 嘉正くんは「悪いやつじゃないよ」と言ったけれど、いつもあんな態度をとられると、そうは思えない。 同じクラスメイトだし仲良くとまでは行かなくても、うまくやっていきたいのに。