わあわあと必死に課外授業を無くそうとする皆を煩わしそうに宥めた薫先生。
授業の終わりを知らせる鐘が鳴って、逃げるようにそそくさと演習場を出ていった。
「ありえねぇよ、ゴールデンウィークだぜ!? ゴールデンなウィーク! なんで休みまで勉強しなくちゃいけないんだよーッ」
全く納得出来ていない慶賀くんが「くそ!」とやけくそになって小石を蹴飛ばす。
「僕、買い物に行こうとしてたんだ。護符に使う和紙をね、ちょっと良いやつを買いに行こうと思って。電車も調べたんだよ。お昼は近くのお店で食べてさ────」
「みなまで言うな、来光」
しくしくと嘆く来光くんの肩を抱いた泰紀くん。
嘉正くんも深いため息をついて額を押えた。
「全部お前らのせいだろ」
私たちの横を通り過ぎたのは恵衣くんが、通り過ぎる際にそう呟いた。
しっかり聞こえた慶賀くんが、「おい」と恵衣くんの肩を掴む。
「それは違ぇだろ。恵衣だってあの夜、社頭にいたのは同じだ」
「俺はお前たちみたいに夜遊びしたいがために出掛けていた訳じゃない。一緒にするな」
ぱん、と慶賀くんの手を払った恵衣くんは私たちをきつく睨むと早足で歩いていった。