変わったことなんて何も……。


「あっ」


突然声を上げた私にみんなはびっくりしたように振り返った。

慌てて「何でもない」と伝えて背を向ける。


変わったことが一つあった。

私は眞奉と結びを作ったんだ。結びを作ったことで眞奉は私のもとにくだり、その変わりに────眞奉は私の言祝ぎの力を得る。

もしかして、眞奉に私の言祝ぎの力を分けているから、力の調節が上手くいくようになったの?


「おっしゃる通りです」


近くで眞奉の声が聞こえてはっと辺りを見回す。しかし姿は見えない。

姿を消したまま話しかけているのだろう。



「そんなことあるの……?」


小声で話しかけると、「ええ」と眞奉が答えた。


「多くの審神者の場合、言祝ぎの力が減ってしまうことに困る者が過半数ですが、君の場合はその真逆のようです」


真逆……。

確かに困るよりもむしろありがたいと思っているけれど、自分の力でできたのでは無いということに少しがっかりする。