「友達とのおいたも程々にな。私も人の事を言えるような学生時代ではなかったが」
そう言って笑った禄輪さんは慣れた手つきで机の上に残った書物を棚に戻す。
その慣れた手つきに、禄輪さんの学生時代が垣間見えた気がして思わず笑う。
「そうだ、巫寿はゴールデンウィークはどうするんだ」
「ゴールデンウィーク?」
「ああ。帰省はできないが、門限まで出かけることはできる」
もう4月も後半に差し掛かっていて、あと数日すれば5月に入る。あっという間だったような、とても長かったような一ヶ月だった。
帰省ができないにしても、どうしても行きたい場所があった。
「お兄ちゃんのお見舞い、行きたいです」
禄輪さんは目を弓なりにした。
「分かった、どこかで一緒に行こう。なるべく仕事も入らないようにする」
「禄輪さんはずっとお仕事なんですか」
「ああ、でも仕方ないことだ。まあ、社の再興のこともあるし、今は猫の手も借りたいな」
ちょっと疲れたようにため息を着くと、禄輪さんは立ち上がる。
「私に、出来ることはありますか……?」
驚いたように目を瞬かせた禄輪さん。
しかし嬉しそうに破顔して私の髪の毛をぐしゃぐしゃに撫でる。
「ありがとう。手伝いが欲しくなったら、声をかけるよ」
「はい……!」