そう問われて、記憶を遡る。

何百本も立つ朱い鳥居に、しめ縄に貼られたたなびく護符。

確か鳥居を建てるのは、境界線と結界の意味があると「社史」の授業で習った。


境界線と結界は外からの侵入者を防ぐため、その奥にあるものを守るため。



「……何かとても大切なものを守っている場所、ですか?」

「あはは、惜しい。いや、正解だけど正解じゃないかな」



ケラケラ笑った薫先生は、はあ、と息を吐いて私を見下ろす。



「大切だけど大切でないものが隠されてる場所だよ。本来なら君たちは決して入ることが出来ない無いエリアまで、偶然にも入ってしまったようだけれど。まあ、もう二度と行けるような場所じゃないから、これ以上は詮索はしないようにね」

「でも、あれって」

「質問も禁止」


人差し指を口元に当てた薫先生。