「や、やめっ、はな、はな、離してくださいッ!」
「人のこと化け物みたいな目で見てその態度は酷くない?」
「や、やめろっ、離せ! この人でなしッ」
「あはは、すごい言われようなんだけど」
必死の形相で逃げようとする陶護先生を、式神がピザ回しでもするかのようにクルクルと回し始める。
うわあああ、と陶護先生の悲鳴が響き渡った。
「薫《くゆる》先生……! やめてください、陶護先生が死にそうですっ」
「おいおい、巫寿。俺じゃなくて人形がやってるんだよ」
「操ってるのは薫先生ですから……!」
もー、と肩を竦めた薫先生はため息を吐いて片手を横にひゅっと振る。
すると人形はまたポンと音を立てると、元の一枚の紙に戻った。
その紙の上にどしん、と尻もちをついた陶護先生は涙目で薫先生を睨みつける。
「だから僕は貴方が嫌いなんですっ」
「嫌よ嫌よも好きのうち、って言うもんな。照れんなって。あははっ」
「〜〜っ!」
顔を真っ赤にして怒りを顕にする陶護先生が立ち上がる。
「連絡した通り、巫寿さんは先程目を覚ましました! 額に打撲の腫れがあること以外は、いつも通りの症状ですっ!」
「そう、じゃあ陶護は出てって」
あっさりとそう言って手をひらひらさせた薫先生に、陶護先生はワナワナと肩を震わしながら保健室を出ていった。