禄輪さんから届いた鳥の手紙と同じだ。
ボソボソと何かを呟いた来光くんはバッと宙にその鳥を放つ。
すると鳥は迷うことなく、廊下を羽ばたき始めた。
「僕の鳥が、この捻れの位置を抜け出せるかは約束できないけど」
「そうだね。俺たちですらお手上げだし、無事に抜け出してくれるといいんだけど」
はあ、と重いため息をついた嘉正くん。
「もし薫先生が来てくれるなら、動かない方がいいよね……?」
「そう、だね。ただ廊下は残穢が濃いから、どこか適当な教室に入ろうか」
分かった、と頷いて、座り込んでぐったりする慶賀くんと来光くん達に手を貸した。
一番近くにあった教室の扉を開けると、また別の廊下へ繋がっていた。
廊下に足を踏み入れたその瞬間、ずんと肩にのしかかるような重みを感じて咄嗟に足を踏ん張る。
「なに、ここ……」
嘉正くんがそう呟いた声でハッと顔を上げた。
「え……?」