確かに、肌をピリピリと刺激するような痛みを感じる気がする。

ブレザーの上から腕を摩った。


「とりあえず、直ぐにここを離れよう」


来光くん脇に手を入れて立ち上がらせた嘉正くんは、来た道を振り返った。

戻ろうとする嘉正くんを慌てて慶賀くんと泰紀くんが引き止めた。


「でも校舎の中で残穢を感じるなら、今すぐ祓うべきだろ!」

「俺もそう思う。まねきの社の結界に守られた神修の中で残穢を感じるなんて、大問題だろ。もしかしたら、結界が破られてるのかもしれないんだぜ」

「だから一旦離れるんだよ。もし結界を破れるような強い相手だったら、俺たちの手に負えない。薫先生を頼るべきだ」



確かに、嘉正くんの言う通りだ。

まねきの社の結界がどれだけ強いものなのかは何となくわかる。

残穢を感じるということは、それを残した妖がいるということ。まねきの社の結界を破って神修の校舎の中へ入ってきた妖が。


「どっちにしろ、ずっとここにいれば来光だけじゃなくて俺らも残穢に当てられる。これからのことを考えるにしろ、ひとまず場所を移そう」


そうだな、と納得した様子の二人は来光くんを支えるのを手伝いながら歩き出した。