だから嬉々先生から罰則を言い渡された時、みんなあんなにも絶望した顔をしていたんだ。

まだ開門祭がどのようなものか分からないけれど、話を聞くだけでもとても楽しいお祭りなのだとわかった。

だから私も少しガッカリしてしまう気持ちが芽生え出す。



去年はどんな店があった、なんて話をしながら先頭を歩いていた嘉正くんが廊下の途中で旗と足を止めた。


「あ、しまった」


急に足を止めたので、そのまま彼の背中に鼻をぶつける。

わ、と驚いて声を上げると、嘉正くんは慌てて「ごめん」と申し訳なさそうに謝りながら振り返った。


「嘉正、急にどうしたの?」

「気が付かない? 俺たち、ずっとこの階段を登ってるけれど、特別教室がある階から進んでないんだよ」

「え?」


そんなまさか、と思ってちょうど踊り場の壁にある上と下の階層を示す数字を見上げる。

そこに示されたのは、下の階は自分たちがいたはずの特別教室がある2階と、その上の階である3階の文字。