「まねきの社は、水無月《ろくがつ》の第一週目が開門祭の期間って決まってるんだ。その間は僕らも社で奉仕しなくちゃいけないから学校は休みなんだけど、学生は一日の奉仕時間は5時間って決められているから、奉仕が終わればその間は遊びたい放題ってワケさ」


なるほど、とひとつ頷く。

朝拝が終わって5時間の奉仕だと、大体昼過ぎには奉仕が終わる。

となると、本来ならば一週間は自由に過ごすことができたらしい。


「屋台だけじゃなくて、曲芸団が来たり演劇もあるんだよ。遠方から来る妖もいるし、学生も出店できるから普段は見れないような屋台も沢山出るんだ。俺も楽しみにしてたのに……」


はあ、とため息をついた嘉正くん。


「俺、今年こそは射的の景品全制覇するって決めてたのに……」

「俺だって屋台の食いもん全制覇するつもりだったんだぞ……」


がっくしと項垂れたのは慶賀くんと泰紀くん。

罰則に例外はないらしく、どうやら開門祭の期間も奉仕が終われば文殿で罰則の書棚整理をさせられるらしい。