「豊楽先生、これなんなの? 葛根湯では無いよね?」

「ん? ああ、ただの精力剤」


湯のみを唇につける寸前で「ひゃっ」と声を上げて机の上に置いた。

ぶっと吹き出した慶賀くんを見て、豊楽先生は楽しげに声を上げる。


「なんちゅーもん生徒に飲ませんだよ! でもすげー! 俺たちそんなの作ってたの!?」

「ああ、そうさ。調合というのは"しらべととのえ、あわせる"と書くんだぞ。正しい分量を調べて、材料を整えて、混ぜ合わせればなんでもつくれるんだ。だから分量はしっかり守ること。いいね」


はーい、と手を挙げて返事した慶賀くん。

もう一口飲もうとして、豊楽先生に取り上げられる。


「じゃあ今日はここまで。配ったプリントは次の授業までに埋めてくるように。あと、開門祭で薬種を取り扱いたい生徒は、事前に俺まで申請するように」


丁度授業の終わりを知らせる鐘が鳴り響いた。