角を曲がったところで、大人しく腕に抱かれていたすねこすりがぱっと顔を上げた。
スリムな体をくねらせてするりと私の腕から飛び出し「あっ」と声を上げる。
逃がしてしまったのは私だけではなかったようで、隣からも「あっ! おいコラ!」とみんなの焦った声が聞こえた。
軽やかな足取りで一斉に同じ方向に走り出したすねこすりを追いかけると、その先に人影を見つける。
「……恵生くん?」
駆け寄ると、逃げ出したすねこすり達は毛を逆立ててフーッと威嚇の姿勢を見せる。
恵生くんは私たちが探していた最後の一匹の首根っこを掴んで険しい顔でこちらを振り向いた。
「良かった、恵生が捕まえてくれたんだね。表で騒ぎになってて、探してたんだ」
嘉正くんがそう声をかけながら手を差し出す。
恵生くんはすねこすりを一瞥した。
「表の騒ぎの元凶がこいつなら、俺は今からこいつを祓う」
「は!? おい、ちょっと待てよ!何言ってんだよ!」
慶賀くんが慌てて駆け寄り、恵生くんからすねこすりを奪い取る。
私達も他の子を協力して再度捕まえて抱き上げる。