「あと一匹かぁ」
あれから1時間後、騒がしかった社頭はやっと落ち着きを取り戻し元の賑わいをみせていた。
残り一匹になって合流した私たちは確保できたすねこすりを腕に抱きながら、あと一匹を捕まえるために社頭のあちこちを探して回っていた。
それにしても────
腕の中で「きゅいきゅい」と鳴き声をあげるその子と目が合った。
いたちのようなスラリとした胴体に、うさぎよりかは少し短い垂れ耳、三毛猫のようなまだら模様のふわふわした生き物。
くりくりした目が私を見上げ、堪らずその小さな後頭部に頬ずりした。
「厄介だけど、可愛い……」
「こんなに可愛い顔して、とんでもない悪戯っ子だけどね」
捕まえる際に十回近く転ばされた嘉正くんは恨めしそうに腕の中のすねこすりを見下ろした。
「残りの一匹、どこにいるんだよ!」
「くそう、出てきたら串焼きにしてやるッ」
「そもそも二人が柵を壊したから悪いんでしょ。関係ない僕達まで巻き込んで……!」
「なんだと!? 俺らの友情はそんなもんかよ!」
「ここで友情論を語るなーッ」