「いてっ」
「何すんだよ嘉正ーッ」
叩かれた頭を押えて抑えて恨めしそうに見るふたりを、嘉正くんがじろりと睨みつけた。
ひっと息を飲んだふたりはすぐに口を閉じる。
「……逃げたのは何匹?」
「なななな、七匹であります!ッ」
「そそそそのうち二匹は捕獲済みでありますッ!」
ち、と舌打ちした嘉正くんに目を剥いた。
いつもの温和な彼からは想像できないくらいダークな雰囲気が漏れている。
「一人一匹。捕まえるまで死ぬ気で探して」
「もし見つからなかったら……」
そうっと手を挙げて聞いた慶賀くんは、嘉正くんに凄まれてまた息を飲む。
「慶賀と泰紀の選択肢は見つけるか、見つけるかの二択だよ。……ほら、さっさと行って」
「二択じゃなくて一択じゃん〜っ」
泣きながら、四つん這いで走り出した二人の背中を見送る。
可哀想だなとは思うけれど、嘉正くんが正しいだろう。
「それにしても、どうして四つん這い……?」