「きゃっ」


どん、と地面に尻もちをついた。

おしりを地面に強く打ち付けてしまい、「いてて」と顔をしかめる。


嘉正くんが膝を着いて私の顔をのぞきこんだ。


「大丈夫? どこか打った?」

「えっと、大丈夫。でも、何が足に」


転ぶ前に何かがすねに触れたような。



「────あっ、嘉正に来光に巫寿! やっと見つけたー!!」


突然始まった騒ぎに、慌てふためく人並みをかき分けるようにして慶賀くんと泰紀くんたちがこちらに向かって来るのが見えた。

四つん這いで。


四つん這いで……?


「やばいんだよ! ちょっと手伝って!」

「すねこすりの柵壊しちまった!」


すねこすり?

首を傾げていると、嘉正くんは額に手を当てて深いため息をつく。



「馬鹿! よりによって何でそんな厄介な幽世動物の柵を……!」

「ろくろ首の明里に騙されたんだー! ただの煙玉っていうから買って試したら爆竹でッ」

「ビックリして手を放したら、すねこすりの柵に転がって行って柵が壊れたんだよぉ!」


半泣きの二人が嘉正くんに縋り付く。

そんなふたりにいつもの十倍は長いため息を零した嘉正くんは、ふたりの頭を勢いよく叩いた。