言祝ぎの子 ー国立神役修詞高等学校ー



ビックリして目を瞬かせる。

だって歯が真っ黒なこと以外、私たちと何一つ変わらない姿だから。


「青女房、慶賀と泰紀ここへ来てない? 先行っちゃったから探してるんだ」

「あのふたり? いやあ、まだ見てないね」

「そっか。一目散にここへ来たと思ったんだけどな」

「あははっ、さてはこれ目当てだな?」


青女房は自分の前の絵をゆびさす。

底には色とりどりのお菓子が入った瓶がずらりとられていた。


金平糖、チョコレート、お煎餅に飴玉。思わずわくわくするようなカラフルなお菓子がたくさんある。


青女房は机の下から茶色い紙袋を三つとると、パン!と膨らまして瓶の蓋を開けた。

慣れた手つきで色んなお菓子を詰めていく。


「あいよ、持ってきな!」


パンパンになった紙袋を投げるように渡されて、慌てて両手を差し出して受け取る。


「えっ、あの、これ貰っていいんですか……?」

「いいのいいの。あんたらは特別だよ! それ食って子供は早く寝ろ!」


身を乗り出すした青女房に、髪の毛がボサボサになるまで頭を撫で回される。

力が強すぎてグルグルと首が回る。



「ちょっと青女房さん、巫寿がびっくりしてるから!」


ちょっと目を回していると、来光くんが慌てて止めに入ってくれた。


「あはは、申し訳ない!」

「もう! 女官の癖にガサツなんだから」

「女房として綺麗に死んで黄泉に行くより、化けて出る方がアタシにはちょうどいいんだよ!」


嘉正くんたちは可笑しそうに声を出して笑う。


今のって、どういうジョークなんだろう……?


皆についていけずに首を傾げた。