下を見下ろした慶賀くんが目を見開いて「しーっ」とジェスチャーする。
みんなで身を寄せ合って木の幹のそばに隠れるように寄りかかる。
30秒くらいして窓が閉まる音がした。シャッとカーテンまで閉められる音がして、ほっと息を吐き出す。
みんなで顔を合わせてくすくすと笑う。
泰紀くんの手を借りて木から降りれば、あたりを警戒した様子の来光くん何かを胸の前に抱えて身を縮めながら駆け寄ってくる。
「みんなひどいよ! 僕だけ見張り役で残して隠れるなんて! 寮監にバレるところだったんだから!」
「ごめんごめん。でも結局見つからなかった訳だし、気にすんな!」
「この場合「気にすんな」って言っていいのは僕なんですけど!?」
どうどう、と宥められて来光くんは地団駄を踏む。
「来光、それ配って!」
「本当に僕、知らないからね? もしまたバレても、今度こそ僕は知らないフリするから!」
なんの話かわからずに首を傾げていると、来光くんは胸に抱えていた紙袋を地面に置いた。
はい巫寿、と手渡されてのは狐面に小花が散りばめられた朱色の着物だった。
お面をひっくり返すと、内側に繋げ字で文章が書かれている。