「ごめん、巫寿。話すべきじゃなかった」
「違う、の。教えてくれて、ありがとう。知っておきたかったから」
鼻をすすりながらそう言うと、嘉正くんは眉を下げて困ったように微笑む。
「おーい! 嘉正、巫寿ーッ!」
顔を上げると参道から、慶賀くんたちが大きく手を振っている姿が見えた。
禄輪さんと目が合えば、小さく手を挙げてくれた。
「呼んでるね。僕、行ってくる。巫寿は戻る?」
「……うん。そうする。朝ごはん、そういえばまだだったし」
「今朝は焼き鮭だったよ」
それは急がなきゃ、と肩をすくめると、嘉正くんは安心したように目尻を下げた。