「巫寿! おはよう」
少し遅れて、嘉正くんも廊下の奥から走ってきた。
思わずくすくすと笑うと、足を止めた嘉正くんが不思議そうに首を傾げる。
「おはよう。嘉正くんも?」
「あ、もしかして先越されてる? くそー、慶賀たちもう行ったんだ」
ちょっと悔しそうな顔をした嘉正くんにぷっと吹き出す。
「巫寿も早く朝飯食べて、おいでよ。禄輪禰宜にはまだ会ったことないよね」
「あ、えっと。実は禄輪さんとは知り合いで────」
「えっそうなの! どういう関係!?」
身を乗り出した嘉正くんの目がきらきらと輝く。
どういう関係、なんだろう。
禄輪さんと両親が親友で、小さい頃は遊んでもらったこともあって、私とお兄ちゃんの後見人で……。
「親戚のおじちゃん……?」
「ほんとに!? すっごい羨ましいんだけど!」