なんとか新学期の2週目を乗りきって週末がやってきた。

と言っても特にすることも無く、朝ごはんを食べたら何をしようかなと歯を磨きながらぼんやり考える。


先週は一週間の疲れもあってか、夕方近くまで眠りこけてしまったから、今週こそは学校の敷地内を探検したい。

文殿で文字の勉強もしたいし、憑霊観破ももう少し勉強したい。


何より一番予習と復習をしなければならないのは、月曜日の三限目にある「憑物呪法学基礎」の授業だ。


あの授業はいちばん苦手だ。何より科目担当の玉富《たまとみ》嬉々《きき》先生がいちばん苦手。

授業初日の苦い記憶が蘇る。



奉仕報告祭が終わって第一週目の授業、一限目二限目は教師の自己紹介や授業方針、教科書の確認や雑談で終わり、休み時間も和やかな雰囲気で皆とおしゃべりして過ごしていた。


「次の授業も喋って終わりならいいのになー」


慶賀くんが自分の机の上に乗って足をプラプラさせながらそう言う。


「そうだね。いきなり難しい授業が始まるのかと思って、ちょっとどきどきしてたんだ」


へへ、と肩を竦めて笑う。


「初日は中等部までの復習とかが多いと思うよ。授業する先生も少なそうだね」


嘉正くんがそう言って、ほっと息を吐く。

この調子なら、なんとかやって行けそう。


そう思ったその時、始業を知らせる鐘の一つ目が鳴り響き、それと同時にパン!と大きな音を立てて教室の前扉が弾けるように開いた。