「はーい、みんな2週目もお疲れ様でした」


六限目終わりの教室。


「薫先生がホームルームするの珍しいね」


慶賀くんがそう口を挟む。

確かに薫先生は帰る前のホームルームは滅多に見かけることがない。


神修で先生をしているけれど本職は神職だから、神職としての別件の仕事が入ってしまい、来ることが出来ないのだ。

なので、いつもは薫先生が使役する妖が伝達内容を書いた手紙を持ってきてくれる。


「この後、本庁の頭のかったい爺たちとくっそ面倒くさい会議があるんだよね」

「へえ〜。会議とかいつもサボってる薫先生が、ちゃんと出るんだ」

「慶賀。俺はね、サボってるんじゃなくて休息を取ってるんだよ。昼は慶賀らみたいなヤンチャの相手して、夜は妖の相手をして……若いってだけでこき使われてるんだから、会議のひとつやふたつくらいサボっても良いでしょ?」


結局サボってるんじゃん!とみんなの声が揃う。

みんなして酷い、と薫先生はしくしく泣き真似を始めた。


「でも、急に会議なんて、何かあったんですか?」

「ああ、報告があるんだよ。鬼門の結界の件の。まねきの禰宜がやっと帰ってきたからね」



ええ!? とみんなが興奮気味に声を上げる。

何事かと目を瞬かせる。



「禰宜が神修に来てるの!?」

「来てるよ。さっきまねきの社にい────」



薫先生が全部いい切る前に、私と恵生くん以外のみんなは弾けるように立ち上がると教室の扉に向かって走り出す。