「えっと、嘉正くんはどんなイメージ……?」
「うーん、正直言うと、慶賀と一緒であんまり意識したことは無いんだよね。普通は幼い頃に、無意識で出来るようになるから」
「そう、なんだ」
「あ、でも強いて言うなら、蛇口をひねる感じに近いかも。緩めれば沢山流れてしまうものを、自分で捻って調整する感じ」
蛇口をひねる、これまでに無いイメージの仕方だ。
「えー、俺と正反対じゃん。嘉正は緩めるけど、俺はうんこ気張」
パコンッとまたいい音がなって、慶賀くんは「何すんだよ!」とまた口をとがらせた。
反撃しようと教科書を丸めた慶賀くんに勘づき、嘉正くんはそそくさと教室に向かって走り出す。
「待てコラー!」と追いかけっこが始まった背中に思わずくすくすと笑った。