「はーい、じゃあさっき授業で習った祝詞、実践していくよ」


今日で5回目の「詞表現実習」。

私は変わらず、みんなと同じ授業に合流することはできず、松の木の下の芝でひたすら言霊の力を操る練習をしていた。


みんなは「火鎮祝詞」の単元が終わって、新しい祝詞の練習に移行している。

みんなと同じように授業に参加できるのはどれくらい先になるんだろう、そんなことを考えると、沈んでいた気持ちがより一層沈む。


先ほど薫先生に渡された小石を見つめてはあとため息をついた。


「イメージ……イメージ。力を調整する……」


薫先生はいつも私の力の状態はアクセル全開だと言う。この小石を払うのは全開の5パーセントくらいでいい。時速5キロくらいのイメージ。

時速5キロ、時速5キロ……。


時速5キロってどういうことだろう?


「祓《はら》え給《たま》い 清《きよ》め給《たま》え────」