わっ、と仰け反った私の肩を、薫先生が受け止める。


「ご、ごめんなさい」

「大丈夫? やっぱ活きがいいね」


あはは、と笑った薫先生は嘉正くん達に「みんなさっさと鎮めないと制服燃やされるよ」と促す。

ゴーッと音を立てて燃え盛る怪火は、妖生態学の教科書に乗っていたものとは何か違う気がする。



「ちょっと薫先生!? なんかこいつら火力強くない!?」

「薫先生ッ! なんかこいつら合体始めたんだけど!?」


慶賀くんと泰紀くんが悲鳴混じりにそう叫ぶ。


「そりゃ火なんだから、近付けばひとつになるでしょ」

「そっか火だもんなー……って聞いてねぇーよ!」


わああ!と騒ぐ皆を横目に、薫先生はあははと笑いながら私の背を押した。


「じゃあ、巫寿は俺と特別授業ね」

「特別授業?」

「うん。今のままじゃ、奏上したとたんぶっ倒れるの目に見えてるからね。まずは言霊の力の出力を操れるようになろう」



みんながわあきゃあと騒いでいる所から少し離れた、松の木の木陰に連れてこられた。

座って、と言われて幹にもたれるように腰を下ろす。