薫先生は透明の小瓶に入った金平糖をかしゃかしゃと鳴らした。
「巫寿がぶっ倒れるのは霊力があまりにも少なすぎるからだよ。手っ取り早く回復するには食事が一番良い方法なんだよね。これからは常にポケットにお菓子入れときな」
これあげる、と瓶を投げて寄こした薫先生。
咄嗟に手を差し出しキャッチした。
「でも、学校なのに」
「薫センセイが言ってるんだから。別に他の生徒も持ってるし、気にしなくていいよ」
え? と周りに座るみんなの顔を見る。
慶賀くんと泰紀くんは制服の至る所のポケットから、まるでマジックみたいに沢山の飴やガムを取り出した。
嘉正くんもブレザーの内ポケットから練り梅をだす。
ほんとうに皆、各々にお菓子を常備しているらしい。