「さて巫寿、俺達も行こうか。歩きながら出血大サービス、この薫センセイが何でも質問に答えてあげよう」
イェイ、と目元でピースを決めた薫先生。
歩き出した先生の後を慌てて追いかけた。
「あ、あの、じゃあさっきの大きな狐とか、あとメイカイ? とか、蛇神ってなんですか? 私たちは今から何をするんですか?」
「ちょいちょい待って、一個ずつ一個ずつ」
「あ、ごめんなさい……。あの、大きな白い狐は何だったんですか?」
「あれは管狐という狐の妖だね。俺が捕まえて使役《しえき》────主従関係を結んだ妖だ。言わば家来みたいなもんだ。一学期の詞表現実習で習うからら楽しみにしてて」
祝詞を唱えるだけで、そんなことまで出来てしまうんだ……。
いずれは自分も習うと知って、早速先行きが不安になる。
「えっと、あとなんだっけ。明階について?」
「あ、はい。それはなんですか?」
「本庁が定めている階位と神職身分って感じかなぁ。上から浄階《じょうかい》、明階《めいかい》、正階《せいかい》、権正階《ごんせいかい》、直階《ちょっかい》、出仕《しゅつし》ってのがあって、神職の学識に応じて割り振られるんだ。中等部を卒業した時点では出仕、高校一年生の学期末テストをパスすれば直階になれるって感じかな。で、神職身分は上から特級、一級、二級上、二級、三級、四級。これは年齢には関係なく、功績と力量で決められる。まあ、普通に勉強して奉仕してれば、正階三級まではあがれるかな」