流れるようにそう言って、みんな目を瞬かせる。


「こらこら、早く行かないと二限目間に合わないぞ。10分で片付けれたら帰りにスタバ寄ってあげるよ。みんなで協力するように」

「……〜っ、くそー!! なんでいっつもこんなにめちゃくちゃ何だよーっ!」



地団駄を踏んだ慶賀くんは弾けるように走り出す。


「絶対スタバ奢れよ、薫先生!」


泰紀くんも「絶対だかんな!?」と念押しして、来光くんの腕を掴み駆け出して行った。


「巫寿、一緒に行動しよう。一人じゃ危険だ」


嘉正くんが私にそう声をかけてきて、何が何だか分からない状態だった私はほっと胸を撫で下ろす。


「あ、待って待って。巫寿はセンセイとね。流石に嘉正でも、何にも知らない状態の巫寿は任せられない」


薫先生が後ろから私の頭にぽんと手を乗せる。


「……分かりました」

「うい。ほら恵生も行った行った」


しっし、とまるで犬を追い払うかのように手を振った薫先生。

嘉正くんは私に歩み寄り、「気を付けて。薫先生の傍を離れちゃダメだよ」とまるで幼い子供に言い聞かせるように言うと森の奥へと駆け出して行った。