慌てて駆け寄ろうとして足を踏み出すと、目の前にまた大きな白い壁が現れる。
同じく白い毛並みを持った大きな狐。あたりを見回せば、合計で4匹もいた。
「よしよし、全員揃ってるね? コン太ゴン太キンちゃんギンちゃん、お疲れ」
薫先生が声をかけると狐たちはポン!と音を立て白い煙をあげる。
驚いて目を瞑る。
しばらく経っても何も起きず、恐る恐る目を開くともうそこにな何もいなくなっていた。
「卑怯だぞ薫先生! 霊狐を使うなんてっ」
頭に葉っぱを生やした慶賀くんがそう噛み付く。
「何言ってんの慶賀。霊狐は霊狐でも、あいつらは管狐、逃げたきゃ祓えばいいんだよ」
「誰が明階一級が従えるような管狐を祓えるんだよコンニャロー!」
いーっと薫先生に向かって歯をむきだした慶賀くんを、薫先生は「カリカリすんな。カルシウム足りてねえからいつまでもチビなんだよ」と火に油を注ぐような言い方で宥める。
とにかく、私たち以外の四人はあの狐たちに首根っこを加えられて、ここまで連れてこられたらしい。