入学式の日と同じように、私たちは御神馬様がひく車に乗ってどこかへ向かって移動し始めた。
どこへ行くのかと尋ねても、薫先生は「着いてからのお楽しみだよ」とはぐらかす。
そして勝手知ったる様子で館の天井を「よっ」と押し上げる。
背伸びをしながらがさごそと探ると、そこからチョコレート菓子を取り出した。
そんな所にお菓子隠してるんだ……。
恵生くんも無言で窓の外を眺めているので、仕方なく私も外の景色を見る。
車は森の深い場所を走っているようだった。
二十分程度走ったところで、車の揺れがやんだ。
それと同時に、外から「いて!」「うわ、急に離すな!」というような声が聞こえた。
「お、ジャストタイミング。みんなお揃いのようだね」
うーんと伸びをした薫先生は、ご機嫌にそういうと車を降りる。
あわててその後を追って外に出た。
車から飛び降りたその瞬間、目の前に真っ白い壁が現れてボスっと体ごと体当たりする。
体を包み込む柔らかい毛に目を瞬かせた。