病院を出る頃には日はすっかり沈んで、分厚い雪雲が夜空をいっそう暗くした。
帰り道はスマホで調べて電車を使った。
ぼんやりと車窓から外を眺めていると、ブレザーのポッケに入れていたスマホがブルブルと動いているのに気がついた。
トークアプリには恵理ちゃんからたくさんのメッセージが届いていた。担任の先生や同じ教室で受験したクラスの友達、玉じいも。
返す気になれなくて電源を消そうとして、もう一つ通知が届いているのに気がつく。
私が家を出て少ししたくらいの時間に届いている。
お兄ちゃんからだった。
とん、と画面に触れてトーク画面を開ける。写真とメッセージだった。
【お弁当作ったから夜ご飯に食べてね。お兄ちゃん今日も仕事遅くなりそう。今日こそ一緒にご飯食べて、ゆっくり話したいって思ってたのに残念。あ、雪積もってるから足元気を付けて。雪遊びは程々に!そういえば昔、今日みたいに雪が積もった日に2人で雪合戦し他の覚えてる?それと試験。頑張ってきたこと発揮出来るといいね。巫寿ならヨユーで合格だ!!】
雪遊びって。お兄ちゃんってば、いつまでも子供扱いばっかりなんだから。
それにいつも文章がいちいち長い。
写真は、お弁当を持ったお兄ちゃんが変顔をして自撮りしたものだった。そして。