「でも、無事に戻ってこられたんだ。これからは社の再興にも取り組めると思うよ」
「そう、なんだ」
明るい声でそういった嘉正くんに、ホッと息を吐く。
「それで、もうひとつの完全浄化っていうのは?」
「ああ、それはね。巫寿が倒れた直後、とても強い言霊が働いてね。先生たちが調べたら、奏上されたのは禊祓詞ではあったんだけれど、敷地内の全てに作用するほど広域で、大祓詞に並ぶくらい効果のあるものだったんだ」
「それこそ、完全浄化してしまうくらいにね!」
気を取り直した慶賀くんが横からそう付け足す。
大祓詞がどんなに凄いものかが分からないけれど、ようは普段の効力よりも数倍もの力が働いたということらしい。
「禰宜がやったんじゃなかって噂もあるみたい」
「ぜーったいそうだよ! あんなこと出来るの、ほかに誰かいると思う?」
すっごいよねえ!と興奮気味にそう言った慶賀くん。
自分の事のように誇らしげで、とても尊敬しているんだなと分かった。